梅雨が明けたある夏の夕方、静岡市清水区の事務所に一本の電話が入りました。
「ジョイマンさん、うちのブログ記事、読んでみてもらえますか。外注ライターに頼んだんですけど……なんか、違うんですよね」
電話口の声は、独立して4年目という個人サロンオーナーさんでした。送られてきた記事を開いた瞬間、私は正直に思いました。「ああ、これはどこのサロンの記事でも使えてしまうやつだ」と。
技術への言及はふわっとしていて、得意施術のこだわりはゼロ。地域の空気感もない。文章は整っているのに、書いたのが誰なのか、どこのサロンなのか、まったく伝わらない記事でした。
その電話をきっかけに、私はあらためて考え始めました。「なぜ美容室の経営改善を話し合う時に、私はまず数字を見せてもらうのか」。今日はそのことを、少し長めにお話しさせてください。
📋 この記事でわかること
- 「うちらしさが出ない」外注ブログが生まれる本当の理由
- 経営改善の出発点として「数字」が必要な理由
- サロンの個性をブログに反映するための具体的なアプローチ
- 副業・代行モデルとして広がった実例紹介
こんな方におすすめ
- ✅ 外注ライターに頼んだが「うちらしさ」が全く出ないと感じているオーナーさん
- ✅ ブログが集客に繋がっているかどうか数字で把握できていない方
- ✅ Hotpepper依存を脱却したいが、何から手をつければいいか迷っている方
- ✅ 美容師の知識や人脈を活かした副収入に興味がある方

「整っているのに、誰の記事かわからない」問題の正体
あの夏の電話以来、私が支援してきたサロンオーナーさんたちに「外注ブログに満足していますか?」と聞くようになりました。答えはほぼ一致しています。
「文章はきれいなんですけど、なんか違うんですよね」
この「なんか違う」の正体は何か。私は長年の支援経験から、答えははっきりしていると思っています。
一般のフリーライターや汎用AIライターは、美容室の業界知識はある程度持っていても、あなたのサロン固有の情報は持っていないんです。「縮毛矯正が得意」と言っても、どう得意なのか。どんなお客様に、どんな理由で選ばれているのか。施術中にどんな声かけをして、何を大切にしているのか。そこまで理解していなければ、書けるのは「どのサロンにも当てはまる縮毛矯正の記事」でしかありません。
例えて言うなら、あなたのサロンを一度も訪れたことのない人に「このお店の紹介文を書いて」と頼むようなものです。Googleで調べた情報をもとに整った文章を書いてくれますが、そこにオーナーさんの温度感は乗らない。
ここで経営改善の観点から重要な問いが生まれます。
「その記事に、今月何人が訪れましたか?」
これが、私が必ず「まず数字を見せてください」と言う理由の一つ目です。
数字を見ると「問題の本当の場所」が見える
経営改善の相談を受けた時、私はいつも同じことをします。売上・客数・客単価・来店頻度・集客チャネル別の流入数——これらの数字を紙に並べてもらうことから始めます。
なぜか。感覚だけで話していると、問題の場所を間違えることが多いからです。
「集客が弱い」と感じているオーナーさんに数字を見せてもらうと、実は新規客数は十分で、問題はリピート率にあるとわかるケースがあります。逆に「リピートが弱い」と思っていたら、そもそも新規の数が少なすぎたというケースも。
ブログの話も同じです。「外注ブログが役に立っていない気がする」という感覚は正しくても、どこが機能していないのかは数字を見るまでわかりません。
- 記事数は足りているか(検索評価には最低150〜200記事が目安)
- どのキーワードで流入しているか
- 流入した人は予約ページまで進んでいるか
- Hotpepperと自社サイトの流入比率はどれくらいか
これらが見えていない状態で「外注をやめよう」「SNSに力を入れよう」と動き始めると、問題の本丸を外したまま動き続けることになります。
「感覚で動いているうちは、いつまでも同じ場所をぐるぐる回ります。数字は地図です。現在地を確認せずに目的地へ向かおうとすれば、どれだけ速く走っても迷子になるだけです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・店舗利益最大化コンサルタント)
「うちらしさ」を取り戻す具体的な入口
では、外注ブログの「うちらしさのなさ」はどう解決するのか。
私が支援の中で実感しているのは、解決の入口は「誰が書くか」ではなく、「何を学習させるか」にあるということです。
チェックポイント①:スタイリストの施術理念は言語化されているか
「縮毛矯正が得意」は出発点に過ぎません。「なぜその技術にこだわっているのか」「どんなお客様の悩みを解決したくて学んだのか」「施術中にどんな声かけを大切にしているのか」——これらが言葉になっていれば、記事の個性は生まれます。
✅ ポイント:まず自分のサロンの「施術への想い」を箇条書きで書き出してみましょう。この一手間が、後から生み出す記事の品質を根本的に変えます。
チェックポイント②:「使ってほしい表現」と「使わないでほしい表現」は整理されているか
外注ライターへの指示でよく見るのは「○○字・週2本・美容室の記事」という指定だけ。これでは書く側も困ります。「うちはこういう言い方をする」「この表現はちょっと違う」というリストを持っているかどうかが、記事のトーンを決定づけます。
✅ ポイント:NGワードリストと好みの言い回しリストを5〜10個ずつ作るだけで、記事のトーンは別物になります。
チェックポイント③:お客様の声・実際のビフォーアフター情報は共有されているか
「ブログを読んで来ました」と言ってもらえる記事には、必ず具体的なエピソードがあります。「こういうお悩みのお客様がいて、こういう施術をして、こう喜ばれた」という一次情報は、ライターには渡さない限り使えません。
✅ ポイント:来店したお客様の声をメモしておく習慣を作り、それを記事の素材として活用する仕組みを整えましょう。
✓ ここまでのポイント
- 「うちらしさが出ない」原因は「誰が書くか」ではなく「何を共有しているか」にある
- 経営改善は感覚ではなく数字から始めることで、本当の問題の場所が見えてくる
- 施術理念・口調・お客様の声をきちんと言語化することが、記事の個性の出発点になる
自分で体験して、仲間に伝えた人の話
実際にこの「個性の言語化」から始めて、想像以上の展開になったオーナーさんがいます。
「自分の体験をもとに近隣サロンに代行提案したら2店舗分の運用を任せてもらえた」
41歳・副業目的オーナー
この方、最初は「自分のサロンのブログが更新できていない」という、よくある悩みから相談が始まりました。施術理念・得意技術・お客様への声かけのこだわり・使いたい表現・使いたくない表現を丁寧に整理し、それをもとにシステムに初期設定を入れていった。
数ヶ月後、「うちっぽい記事が自動で出てくるようになった」と連絡をくれました。それだけでも十分な成果だったのですが、面白いことが起きたのはその後です。
美容師仲間との集まりで「最近ブログが自動で更新されてる」と話したら、「うちも同じ悩みがある」という声が続いたんですね。しかも自分が体験者として話せるので、説明に説得力がある。結果として、近隣の2店舗から「うちの代わりに運用してほしい」と依頼が来た。
これはとても理にかなった話だと私は思います。同じ業界の悩みを自分ごととして理解できる人間が伴走してくれる——それだけで信頼感が違います。しかも、自分が先に結果を出しているから、余計な説明がいらない。
美容師の知識と人脈を、施術以外の収益に変える形として、これほど自然な流れはないと感じています。
「副業は『何かを売る』より『自分が体験したことを伝える』形が一番長続きします。自分がリアルな体験者であることが、最も強い営業ツールになるからです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・増益繁盛クラブ主宰)
「まず数字を」と言う、もう一つの理由
話を戻します。なぜ私は経営改善の入口で「まず数字を見せてください」と言うのか。
実は、これには私自身の失敗体験が背景にあります。
独立直後、仕事もゼロ、貯金も底をついた時期がありました。焦って動き回るばかりで、自分の現状をちゃんと数字で把握していなかった。何が機能していて、何が機能していないのか。どこにリソースを集中すべきか。感覚で動き続けた結果、遠回りをしました。
それ以来、「現在地を確認することが、最短ルートへの入口」という考え方が私の支援の軸になっています。
美容室のブログも同じです。「外注に頼んでも違う気がする」「SNSを頑張っているのに予約が増えない」という感覚は大切なシグナルです。でも、そのシグナルの正体を突き止めるには、感覚ではなく数字が必要です。
記事数はいくつあるか。どこからの流入が多いか。Hotpepperと自社サイトの比率は今どうなっているか。これを把握した上で初めて、「次に何をすべきか」が見えてきます。
数字を見ることは、現在地を知ることです。現在地を知ることは、最短ルートへの出発点です。
私がこの仕事を21年続けてきた中で、833件の店舗支援を経て、この順番だけは変えたことがありません。
まとめ:「うちらしさ」と「数字」は、同じ問いへの答え
「外注ブログがうちらしくない」という悩みと、「まず数字を見せてください」という私の言葉は、実は同じ問いを指しています。
「あなたのサロンの現実を、ちゃんと言葉にできていますか?」
施術への想い、お客様へのこだわり、得意技術の背景——これらが言語化されていれば、記事に個性が生まれます。売上・流入・リピート率——これらが数字で把握されていれば、経営改善の打ち手が見えます。どちらも「現実を言葉にする」ことが出発点です。
初期設定に少し時間をかけることが、長期的な記事品質の差になる。そして、その記事が積み上がった先に、Hotpepperに依存しない自社集客の仕組みができていく。急がば回れ、ではありますが、これが一番現実的で確実な道だと、21年の支援経験から断言できます。
もしブログの「うちらしさ」でお悩みなら、まずは自分のサロンの情報を整理するところから始めてみてください。そのお手伝いをするリソースを、下記に用意しています。
ぜひ一度のぞいてみてください。お待ちしています。